Sayer Says in Japanese

Wednesday, September 10, 2008

シンポジウム「戦争と人類学」へ申し込みが続々と届いています

科学紀元8年9月10日(水)

来る9月28日(日)に開催する,日本学術会議自然人類学分科会主催の標記シンポジウムには,毎日続々と参加申し込みが届いています。今夜すでに2名から届き,これで65名になりました。この分でゆくと,170名とまでは行かなくても,軽く100名を越えそうな気がします。もっとも,2月17日に同じ会場で中立進化論40周年のシンポジウムを開催した時には,会場が埋まりましたが。

斎藤成也
自然人類学分科会 委員長

Sunday, September 07, 2008

福井市のおさごえ民家園で講演会を開催します

科学紀元8年9月7日(日)

本日最後の更新です。
以下の講演会を開催します。

日時:8年10月12日(日)午後3時半〜午後5時
場所:福井市おさごえ民家園
講師:佐々木閑(花園大学教授)
タイトル:仏教の現在
定員:50名(すでに7名が参加予定です;9月10日更新)

講師の佐々木教授は,現在朝日新聞の夕刊で毎週木曜日に「日々是修行」というコラムを連載されています。

主催:足羽三山文化協議会
注:足羽三山とは,福井県福井市にある足羽山,八幡山,兎越山を指します。

参加を希望される方は,斎藤成也(saitou.naruya@gmail.com) までご連絡下さい。

足羽三山文化協議会 事務局 斎藤成也

書庫「懐無堂」完成す

科学紀元8年9月7日(日)

今日は筆が進みます。
帰省先の福井県福井市の両親の自宅の空き地に,このほど書庫を建設しました。1辺がほぼ4間(1間が約1.8mなので,7メートル程度)の正方形で,壁中が本棚です。さらに内側にも幅5m,高さ3.5m程度の本棚があり,全体でおよそ1万冊の書籍をすでに収納しました。半分は,父斎藤光夫(原子光生)のものです。将来内側の本棚をさらに追加などすることにより,2万5千冊程度の本は軽く収納が可能になる設計になっています。

斎藤成也

『ゲノム進化学入門』重版します!

科学紀元8年9月7日(日)

夜自宅にもどってまた発信します。
昨年12月に共立出版から出した『ゲノム進化学入門』が,1年足らずで第2刷の運びとなりました。9月末には出ます。

『ゲノム進化学入門』追加と修正 で公開している修正はすべて盛り込みますし,細かな言葉の統一も行う予定です。

改訂版ではないので,大規模な変更や追加はありません。当初はCDROMのファイルなら変更が容易だと思っていたのですが,現在のシステムではマスターファイル作成などにかなりの費用がかかるので,プリント版は最小限とはいえ修正があるのに,CDROMファイルの変更はなしという,逆転現象になりました。

ただ,追加をいろいろしたいので,いずれ
evolutionary genomics に修正と追加のpdfファイルを公開する予定です。

斎藤成也

Saturday, September 06, 2008

進化学会で招聘したStefan Grunewald氏とのDiscussion

科学紀元8年9月7日(日)

自宅から発信、第3信です。
 遺伝学会の2週間ほど前に、東京大学の駒場キャンパスにて、日本進化学会が開催されました。私は、系統ネットワークに関するシンポジウムを企画し、東京工業大学の下平氏、茨城大学の北野氏、そして上海にあるマックスプランク財団と中国科学院共同運営のComputational Biology InstituteのStefan Grunewald氏に話していただきました。
 Stefanには学会のあと三島の遺伝研に来てもらい、系統ネットワークについて少し議論することができました。議論といっても、もっぱら私がいろいろ教えてもらったのですが。そのなかで、めずらしく私のほうが主張したことに、ネットワークの枝の長さとしては、整数値しか認めるべきではない、というものがあります。
 距離行列から系統ネットワークを作る場合、整数でないことが一般的ですが、塩基配列やアミノ酸配列の多重整列結果から距離行列を定義した場合に限り、そこから生みだされる系統ネットワークは整数値の枝長をとるべきだというのが、私の考え方です。たとえば、ある塩基サイトに4種類の塩基(A, C, G, T)が共存していると、それに対応する系統ネットワークは、正三角形4個を組み合わせた正四面体となり、4個の塩基が4個の頂点に位置します。この状態を距離行列で表わすと、

__A_C_G_T
A_0_1_1_1
C_1_0_1_1
G_1_1_0_1
T_1_1_1_0

となります。この距離行列からは、Stefanによれば、2種類の異なる系統ネットワークが生みだされます。ひとつは、中心から4方向に枝が伸びる系統樹です。もうひとつは立方体です。8個の頂点のうち、ひとつおきの頂点に4個の塩基が位置します。図は省略します。しかし、どちらの場合にも、枝の長さはすべて0.5です。節間の距離がすべて1.0なのですから、そうなります。また、Stefanによれば、正四面体は彼らが考えるSplit Graphではないとのこと。複数の節を分断する(split)のが前提だからです。でも私にとっては、枝の長さが整数値にならないネットワークは許せないので、議論になりました。もちろん、異なる前提から出発しているので、議論は平行でしたが。

斎藤成也

藤田一郎氏と佐々木閑氏による「科学と仏教の接点」

科学紀元8年9月7日(日)

自宅より発信する第2信です。 
 昨日、標記の講演会に参加しました。十数年ぶりに再会した、大学時代の生物学科の同級生、藤田一郎さん(大阪大学教授)による、脳の働きによって錯視が生じるという現象を中心としたとても刺激的で勉強になる1時間半の講演と、先月にクラス会でお会いしたばかりの、高校時代の同級生である佐々木閑氏(花園大学教授)による仏教の本来のすがたの講演でした。
 藤田氏が最後に紹介された2光子レーザー顕微鏡によるニューロンやグリア細胞の非侵襲的観察は、たしかにすばらしいものでした。藤田研究室にはじめてこの機械が導入されて、最初に映し出された脳内の映像に、みんな感動したそうですが、ハワイのすばる天体望遠鏡のファーストライトの感動を、以前小平桂一前総合研究大学院大学学長が講演で話しておられたのを思い出しました。自然科学の大きな発展には、このように新規技術によるまったく新しいレベルの観察データが重要なことを、改めて思い知らされました。
 佐々木さんの講演の途中で、私もちょっと質問というか、コメントしてしまいました。仏教のことというよりも、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教という、絶対神だけを信じる一神教のなかで、イスラム世界ではルネサンス以前には多くの偉大な学者が輩出したのに、その後自然科学の発展がほぼ欧州に独占されたのはなぜだろうかという疑問に、「帝国」の存在があったのではないかと発言しました。欧州はいくつかの国に分断されて、いつも技術革新があり、それがやがて産業革命を生みだしました。ところがイスラム世界から中国にいたる地域は、オスマントルコ帝国、ムガール帝国、明・清帝国といった大帝国が連続したために、自由な発想を前提とする自然科学が育ちにくかったのではないか、という考え方です。
 宗教について、私は今度は質問をしました。キリスト教では神秘主義が否定されている(たとえばフスはひあぶりにされました)のに対して、イスラム教はスーフィーのような神秘思想中心のグループがかなり大きな勢力になっている。仏教では神秘思想はどうなのかという質問です。佐々木氏の答えは、大乗仏教がヒンズー教からの影響で神秘主義を取り入れたということだったと思います。ただ、大乗仏教は一神教的な要素があるので、そうなるとキリスト教やユダヤ教も本来が神秘主義だということになります。
 まあそうかもしれません。処女懐胎や復活といった、私にはまったく信じることができない「奇蹟」は一種の神秘ですから。むしろ、神の存在を前提としない神秘こそが、ほんとうの神秘だと思うのですが。

斎藤成也

名古屋大学で開催された遺伝学会で購入した本

科学紀元8年9月7日(日)

自宅より発信します。
 9月3日〜5日に、名古屋大学キャンパスで開催された遺伝学会大会に参加してきました。1階には5個の中〜小規模室が横にずらりと並び、2階には500名ほどが座ることができる大型講堂があるという、参加者500名程度の規模の学会を開催するのに、うってつけの会場でした。
 また、さすが総合大学の書店でした。本好きの僕は、3冊購入しました。そのうちの1冊が、今年の8月に出版されたばかりの『明代中国の庭園文化』(クルナス著、中野美代子・中島健訳、青土社、08年)。中国の庭園には、なんとなく昔から興味があったのですが、『孫悟空の誕生』などの著書がある中野美代子先生がわざわざ訳したということは、きっとおもしろいに違いないと思い、購入しました。まだ1/4くらいしか読み進めていませんが、おもしろい!
 若いときに、友人ら7名で「竹林の七賢」などと称して研究会をしていたことを思い出します。もっともこちらはずっと古い時代の中国の故事ですが。
 この本は、実は建築関係のコーナーで見つけたものです。最初は、昔から興味がある海上建築の本を探していて、1冊見つけたのですが、よくある技術的なことばかりの専門書だったので、がっかりして本棚にもどしたら、その数冊離れたときにこの本があったのです。

斎藤成也