Sayer Says in Japanese

Saturday, September 03, 2011

システム思考の欠如

11年9月3日(土)

 先日、知り合いの建築家に都内で会った時、3・11で天井が落下して犠牲者を出した九段会館を例にして、天井がどれくらい地震に強いかどうかについて少し話しました。彼によれば、建築の分野では、基礎や構造体に関しての規則はあるけれども、天井については何も規則がないそうです。特にシャンデリアが危ないので、地震に遭遇したときにシャンデリアのある部屋にいる場合には、シャンデリアの下にいないようにしたほうがよいとのこと。この話と、今回の福島原発の大事故とは、関連があるのではと思いました。それはシステム思考の欠如です。今読んでいるある新書によれば、原発も建築と同様に、格納容器や圧力容器については、きびしい基準があるけれども、原発というシステム全体については、なにも規制がないとのこと。これでは津波による電力喪失など、想定できないでしょう。というか、安全審査の時に、そんなことは起こらないという結論だったと記憶しています。
 私の勤務している研究所でも、3・11のあと、本棚などの什器を壁に固定することがさらに徹底されました。しかし、以前本棚の固定に来た業者の方が、こんな固定をしても、大地震がきたら固定した横木そのものが壁からはがれますよ、と言っていました。さらに、大きな地震の時には本棚から本が水平に射出されて、本棚が倒れなくても、そこにいる人は死ぬだろうという予想も聞いたことがあります。実験室の薬品棚は全部横棒があって、地震に強くなっていますが、本棚まではそうなっている場合は少ないでしょう。

斎藤成也

Thursday, September 01, 2011

関東大震災

11年9月1日

今日は、関東大震災が起こった日である。数日前に、吉村昭の「関東大震災」(新潮文庫)を購入し、ざっと読んだ。最初と最後に地震学者、大森房吉が登場する。彼は大地震の到来を強く訴えなかった。そのために、関東大震災からほどなくして、落胆して死んでいったらしい。郷里の大先輩として尊敬してきたが、そういう側面もあったのだと知った。今も昔も、地震予知はむずかしいのである。
今日は、日本学術会議のある委員会に出席していた。3・11にも関係する話題が続々と出てきたので、今日が関東大震災であることに、ちらっと言及させていただいた。

斎藤成也