J. D. Salinger 死す
10年6月5日(土)
すっかり旧聞に属してしまいましたが、米国の作家 J. D. Salingerが今年の1月27日に死去しました。91才でした。私は大学1年生の時に彼の作品、『ライ麦畑でつかまえて』を知りました。この作品はたしか野崎孝訳の白水社から出ていた単行本を買って読んだのですが、その後当時下宿していた世田谷区上野毛の近くの区立図書館で荒地出版社のサリンジャー選集4巻本を見つけたときには、こおどりして喜んだという感じです。図書館にはいちおう勉強に来ていたので、少し勉強したら、選集の中の短編をひとつ読む、という感じで、あっという間にほぼ全部に目を通してしまいました。「やさしい軍曹」を何回読み直したことか。また、「最後の休暇の最後の日」も、当時の若い私にとっては、身につまされるシーンもあり、くりかえしくりかえし読みました。サリンジャーというと、もちろん「九つの物語」も「フラニー・ゾーイー」も「大工よ、屋根の梁を高くあげよ」も素敵ですが、現在ではあまり知られていないこれらの短編もまたすばらしいのです。彼の初期の作品「わかものたち」の、あのドライな感じもいいのです。
荒地出版社のサリンジャー選集は、さきほどアマゾンで調べたところ、中古品しかリストされなかったので、残念ながら絶版になっているようですが、図書館などでは見つかると思います。サリンジャーに興味を持った方はどうぞ読んでみてください。
斎藤成也
すっかり旧聞に属してしまいましたが、米国の作家 J. D. Salingerが今年の1月27日に死去しました。91才でした。私は大学1年生の時に彼の作品、『ライ麦畑でつかまえて』を知りました。この作品はたしか野崎孝訳の白水社から出ていた単行本を買って読んだのですが、その後当時下宿していた世田谷区上野毛の近くの区立図書館で荒地出版社のサリンジャー選集4巻本を見つけたときには、こおどりして喜んだという感じです。図書館にはいちおう勉強に来ていたので、少し勉強したら、選集の中の短編をひとつ読む、という感じで、あっという間にほぼ全部に目を通してしまいました。「やさしい軍曹」を何回読み直したことか。また、「最後の休暇の最後の日」も、当時の若い私にとっては、身につまされるシーンもあり、くりかえしくりかえし読みました。サリンジャーというと、もちろん「九つの物語」も「フラニー・ゾーイー」も「大工よ、屋根の梁を高くあげよ」も素敵ですが、現在ではあまり知られていないこれらの短編もまたすばらしいのです。彼の初期の作品「わかものたち」の、あのドライな感じもいいのです。
荒地出版社のサリンジャー選集は、さきほどアマゾンで調べたところ、中古品しかリストされなかったので、残念ながら絶版になっているようですが、図書館などでは見つかると思います。サリンジャーに興味を持った方はどうぞ読んでみてください。
斎藤成也