Sayer Says in Japanese

Wednesday, February 14, 2007

クラリッサ

科学紀元7年2月15日午前1時10分ごろ
 女性の名前といえば、僕の好きなモノクロ映画のひとつ、"Mr. Smith goes to Washington"(スミス都に行く)では、これまた大好きなJames Stewartが主演で、Frank Capra監督だが、主人公スミス氏の秘書の名前がたしかクラリッサだった。彼女本人はこの自分の名前が嫌いだったので、スミスの母親にいい名前ねと言われてうれしくなって彼に報告するところなんぞ、いい感じなのだが、クラリッサという発音、そんなによくないんだろうか。僕にとってクラリッサといえば、クラリッサ・マクドゥガルである。あれ、昔このことを書いたような気がしてきたゾ。まあいい。レンズマンとなったキムボール・キニスンが結婚した相手なんです。

フリエータ

科学紀元7年2月15日午前1時すぎ
 しばらくこのブログへの書き込みをごぶさたしていたので、今夜は一気にいろいろ書いている。以下は、昨年の9月にメキシコに行った際の帰りの機内で書いたものを、ブログに出そうと思っていて忘れていたのを思い出したのである。第2弾!
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フリエータ。その名前は、キューバ出身の作家カブレラ・インファンテの作品『亡き王子のためのハバーナ』に登場する、主人公(作家に重なる)とごろにゃんになる絶世の美女として、僕は記憶していた。彼女と同じ名前の、しかもきりりとした美人にメキシコで会えるとは! 残念ながら現実のフリエータは英語があまり話せず、僕が英語で話すとスペイン語で返事が返ってきた。でも、夕食の時には2回ほど席が隣になり(1回目は僕が意識的に彼女の横に座り、2回目、最後の夕食、ポソーレが出た時には、僕が座ったあとに彼女の方が横に座ってくれたのです)、ポソーレ論争を聴くことができた。地方によってかなり違うらしい。僕はとてもおいしかったのだが、そのポソーレは、赤色で、鶏肉や牛肉が入ったスープである。それにキャベツやタマネギ、サワークリーム、赤とうがらしの粉末、オレガノ、さらに大事なのは小さく割った揚げたトルティーヤを自分で加えて食べるのだ。でもフリエータの家(彼女はゲレロ州出身らしい)では、緑色や白色のポソーレを食べることがあるし、肉の入らないこともあるとか。僕がとてもおいしくておかわりしたポソーレは、彼女のお気にめさなかったらしく、残していた。われわれが帰国するときに彼女と最後にあったときには、来年また来たらこんどは英語で話しましょう、とスペイン語で僕らに言っていた。

楢山節考

科学紀元7年2月15日午前1時すぎ
 しばらくこのブログへの書き込みをごぶさたしていたので、今夜は一気にいろいろ書いている。以下は、昨年の9月にメキシコに行った際に書いたものを、ブログに出そうと思っていて忘れていたのを思い出したのである。
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 メキシコに12日間、調査で行ってました。帰りの飛行機の中で、読もうと思っていた作品、深沢七郎の『楢山節考』を読みました。これを原作とした映画は昔見たことがあって、筋は知っていたけれど、最近知り合いの人に『君の発言を聞いていると、深沢七郎と通じるところがあるから、読んでごらん』と言われたので、長旅の友に、新潮文庫の『楢山節考』を持ってきたのです。よかった。涙が少し出ちゃったけど、ニヒリストの深沢ここにあり、という感じだった。
 数年前に米国のある研究所に会議で行ったとき、帰りの飛行機の関係で、ほかの人は帰ったのに、僕だけもう1泊することになった。そこで、会議の食事の世話などをする人々の中で主(ぬし)みたいなふとっちょの黒人のおばさんが、僕を夕食に連れて行ってくれた。彼女の車に乗って、ちょっとしたデートだったのです。僕がアジア人だったからなのかどうか、中華料理のバイキングの店に連れて行かれた。そこでいろんな話を聞いた。DNAの二重螺旋構造を提唱したワトソン博士が彼女を面接して、即採用されたということ。彼女にとって、とても名誉でうれしいことだったのだろう。でも僕にとって最も興味深かったのは、自分が年を取って、歩けなくなったら、病院の世話になんかならない、すぐ死ぬよ、と言い放った言葉。僕が外国人だからだったかもしれない。あるいは、なかなかおもしろいおばさんだったので、口癖だったのかもしれない。今にして思うと、現代版のおりん(『楢山節考』の主人公のおばあさん)だなあと思う。
 僕は、死ぬときには太平洋のど真ん中に浮かぶ、自分で作った1平方kmの浮島でと思っている。僕にかしずくたくさんの介護ロボットに囲まれて死んでゆくのだ。そのときまだ生き残っている知り合いとは、ヴァーチャル映像で別れを告げる。彼女はそのときまだ生きているだろうか。それとも僕のほうがずっと前にころっといっているんだろうか。
 飽食の時代と言われて久しい。でも、世の中がなんやかんやと号外が出たりして浮かれている時にも、ホームレスでころんと逝っている人もいるんだろうなと思ったりするんだな。楢山はナラ林帯にあったある村の話だ。一昔前に一世を風靡した「照葉樹林文化」は、縄文時代にはふさわしくないことがわかった。あの時代はむしろナラ林帯だったのだ。楢山節考は、そういう意味で、縄文時代からの伝統を引いているのかもしれないな、と思うと、ちょっと楽しくなる。

サン・マロ

科学紀元7年2月15日 午前1時
 のだめ・カンタービレのヨーロッパ編では、のだめが初リサイタルを、フランス海岸部のサン・マロという町で開くことになっている。僕はこの町の名前を知らなかったので、あるいは架空の町なのかな、とも思っていた。
 ところが、昨年12月にフランスに1週間ほど滞在したおり、あるシャトーホテルに泊まる経験をしたのだが、深夜に眠れなくて部屋に置いてあったフランス各地のホテル案内をぱらぱらと見ていたら、サン・マロという町が出てきた。そうか、やっぱり実在するのかあ。
 という経験をしてまもなく、敬愛するサマセット・モームの作品の中でまだ読んでいなかった『劇場』(新潮文庫)を見つけて一気に読んでしまった。高名な舞台女優とそのつばめと・・・という筋はともかく、主人公のジュリアがこれまた若いときにサン・マロで過ごしているのだ。のだめの作者さん、なかなかしゃれた町をのだめのために用意したなと感心した。

4冊目の単著『ゲノム進化を考える』刊行

科学紀元7年2月15日深夜、というよりも14日が終わったばかりというべきか
 父親の本について少し書いたが、そういえばこの1月に4冊目の単著を刊行した。私のウェブサイトではすでに触れてあるが、3年前に「ゲノムと進化」(新曜社)を刊行し、今度は『ゲノム進化を考える』(サイエンス社)。また、もうすぐ共著だが「ゲノムはここまでわかった」というような題の本も出る。しかも、数年来「ゲノム進化学入門」という題の教科書を準備してきている。今年こそ、今年こそと思いつつ、なかなか完成しない。大部なものはあきらめて、自分の守備範囲でなんとか完成させて出すつもりだ。

わんぱく勲章

科学紀元0007年, 2月15日深夜
 昨年から、父親、原子光生(げんし・こうせい)の本『わんぱく勲章』を用意している。10年ほど前に、産経新聞の福井版に1年間父が連載していた、彼の子供時代の思い出の数々を文章と彼自身の挿絵でつづったものをまとめたものである。父は現在84歳。関東大震災の前の年に、母親の実家である信州で生まれ、育った。当時の信州の民俗がいろいろ出てくる。山の少年(サンカらしい)とあったことも、氷をレンズにしたことも、賢いカラスとの友情も、それぞれ興味深い。乞うご期待!