Sayer Says in Japanese

Friday, June 29, 2007

Halifax Airportにて

科学紀元7年6月29日
カナダ東海岸のHalifaxに数日間滞在していた。SMBE07に参加した。初日は出られなかったが,2日目から最終日の昨日までしっかり参加し,今日帰国の途に着くところである。私はBanquetの直前にあったnon-coding DNA進化のシンポジウムで話したが,好評だった。その後に話した演者はultra-conserved elementsで正の淘汰が生じているというデータベースの大規模統計解析結果の報告をしたが,タイトルからして首をひねる講演だったので,最後にbiased gene conversionの影響であって,実際の変化はすべて中立進化と考えていいだろうとコメントがあり,我が意を得たりだった。きわめて進化速度の遅い領域なので,ちょっと変化があったらそれは基本的には淘汰上の制約が弱まった中立進化である。どうも統計解析を振り回す人が多くて困る。もっと現象をよく考察するべきだ。
 最終日朝8時からのLynchの講演"Origins of Genome Architechture"は,出版されたばかりの同名の本の紹介という感じもあったが,ゲノムの進化にいかに突然変異と遺伝的浮動という中立進化の二大要素が重要かを指摘していて,気分がよかった。彼の本も買って,読み始めた。Halifaxは港町で,なかなか感じのよいところだった。SMBEも700名以上が参加して,大成功だったのではなかろうか。
 あと,以前から尊敬しているキャヴァリエ・スミス博士の講演も,いつもながら印象的だった。ヘテロクロマチンをはじめとする真核生物のゲノムDNAが,細胞核の構造を維持する役目をしているという,興味深い指摘があった。

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